第131章

神園和臣は、どうしても――まだ何もわかっていない子どもに、「母親はもう亡くなった」と告げることができなかった。

黙って手を伸ばし、奏太の頭をくしゃりと撫でる。低い声で、そっと言った。

「ママ、ちょっと用事があるんだ。奏太はいい子にしてて。何日かしたら、ママが会いに来るから」

奏太は眉を寄せ、澄んだ目で神園和臣を見上げる。

「何日って、どれくらい?」

神園和臣は一瞬言葉に詰まり、それでも優しく言い聞かせた。

「奏太が病気をちゃんと治したら、そのときママが来る」

その言葉に縋るように、奏太はその後の数日、医者の治療にも素直に従った。

だが――それも、長くはもたなかった。

廊下に...

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