第132章

「一人で来たのか?」

病室の入口に、ひとりで立つ新藤鈴奈を見つけた瞬間。稲垣征也の声には、露骨な皮肉が混じった。

鈴奈は説明する気にもならず、短く問い返す。

「日織は?」

「点滴して、もう寝た」

征也はそれだけ答えると、すぐに話を戻した。

「神園和臣もよく平気だな。お前を一人で寄こすなんて」

鈴奈は眉をひそめた。何度も何度も、同じ調子で突っかかってくるのが癇に障る。

「私たち、もう離婚してる。あの人が何を心配するの」

征也の顔が一瞬、詰まったように歪む。次の瞬間、黒く沈んだ表情のまま、口が滑った。

「庇うのも大概にしろよ。……まあ、そうか。あいつの子の継母にまでなろうって...

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