第138章

夜。

新藤鈴奈は奏太を寝かしつけると、自分の部屋へ戻った。

床まで届く大きな窓の前。揺り椅子に腰を下ろし、神園和臣に電話をかける。

コールは長かった。ようやく繋がった向こうから聞こえてきたのは、掠れた疲れの混じる声――けれど、この夜に溶けるみたいに優しい声だった。

「どうした。俺のこと、恋しくなったか?」

低い声が受話口越しに響いて、新藤鈴奈の耳の奥がじんと痺れる。

ふと、あの男が至近距離で囁く光景が脳裏に浮かび、耳の付け根が熱くなった。

咳払いをひとつして、平静を装う。

「……今日の現場のヘアメイク、あなたが手配したの?」

「知らなかったか。俺、君のそばに目を置いてるんだ...

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