第144章

「こんな時間に電話なんて。もしかして、俺のこと――」

神園和臣が言い終える前に、新藤鈴奈の氷みたいに冷えた声が受話器越しに飛んできた。

「……あなたのお母さま、さっき撮影現場に来た」

さっきまで戯けた笑みを含んでいた和臣の声が、瞬時に硬くなる。

「何かされたのか?」

「お義母さまの性格、あなたがいちばん分かってるでしょ」

鈴奈は淡々と言った。

「昨日会ったときも別に嫌味なんて言われてないし、外でわざわざ揉めるような人でもない」

和臣が小さく息を吐く。

「……そうだな。うちの母親、外で君と衝突なんてしない」

鈴奈はそこで言葉を切った。

「でもね。来たタイミングが悪くて、稲...

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