第18章

男の怒りを前にしても、新藤鈴奈はただ淡く微笑んだ。

「正直、よくわからないの。そこまで彼女を庇うなら、どうして離婚しないの? 離婚してしまえば、あなたは彼女と結婚できるでしょう。そうなれば、誰にも責められないし、誰にも邪魔されずに彼女を大事にできるわ」

稲垣征也は冷えきった黒い瞳で彼女を見据えた。顔には、ありありと怒気が浮かんでいる。

「もう説明したはずだ。俺と真由は、お前が考えているような関係じゃない――」

新藤鈴奈は手を上げて、彼の言葉を遮った。

「ええ、わかってる。かわいそうだから放っておけない、傷つけたくない――そういう話でしょう」

高嶺の花だもの。

傷つけたくない理由...

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