第19章

結局、二人は後味の悪いまま別れた。

仕立てのいいスーツをまとった男は、長い脚で足早に廊下を抜けていく。

運転手が静かにドアを開けた。

稲垣征也はそのまま車に乗り込み、低くよく響く、チェロのような声にわずかな冷たさをにじませて言った。

「真由のところへ」

新藤鈴奈に関するスキャンダルはトレンド上位に居座ったまま、勢いを増し続けていた。

津田真由は、ほとんど余計な細工をしなくてもよかった。

すでに十分すぎるほど燃え広がっていたからだ。

無名に近い若手女優ひとりに、そこまでの影響力があるはずもない。

だが、相手が部星エンタメの神園社長となれば話は別だった。

結果そのものは少し予...

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