第27章

夜、ホテルへ戻った新藤鈴奈は、スマホを開いてようやく稲垣征也からの着信に気づいた。

少し考えた末、彼女はかけ直さなかった。

あの男が何の用で電話してきたのかもわからない。どうせ話せば、皮肉のひとつやふたつは飛んでくる。今日はもうへとへとで、言い争う気力なんて残っていなかった。

新藤鈴奈はきゅっと唇を引き結び、カレンダーを開く。

そこには娘の誕生日が記されていた。しばらく稲垣日織の顔を見ていないせいか、やはり会いたい気持ちは消えていない。

ちょうどそのとき、葵が部屋に入ってきた。

新藤鈴奈は少し迷ってから、彼女に相談する。

「明後日の午後、少し時間を空けたいんだけど……シェリーさ...

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