第28章

「新藤鈴奈?」

受話器の向こうから、やや意外そうな声が返ってきた。できるだけ静かな場所へ移動したのだろうが、それでも向こうでは騒がしい音楽が鳴っている。

神園和臣は、どうやらバーにいるらしい。

新藤鈴奈が口を開こうとした、そのときだった。

少し離れた場所から、男の苛立った怒鳴り声が響く。

「もう隠れても無駄だ! 見えてんだよ! さっさと出てこい! 捕まえたらただじゃ済まさねえぞ!」

その一喝に、新藤鈴奈の手がびくっと震えた。スマホを取り落としそうになる。

慌てて口を押さえ、息すら殺した。

電話の向こうでは、しばらくしても返事がないことに、神園和臣が不審そうに眉をひそめた気配が...

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