第38章
真っ白で広い病室のベッドの上、ちいさな身体がきゅっと丸まり、安らかな寝息を立てていた。
新藤鈴奈は足音を殺してベッド脇へ近づき、指先でそっと、娘の血色のいい頬に触れる。起こしてしまわないよう声も限界まで落とした。
「日織……つらかったね」
眠っているはずの少女のまつげが、かすかに震えた。
そして――ぱちり。
日織が目を開けた。
母娘の視線が重なる。鈴奈はできるだけ表情をやわらげ、優しく問いかける。
「起きたの? 日織、どこか苦しい? 痛いところはない?」
温かな指の腹が頬をなでる。その感触に、稲垣日織は一瞬ぽかんとした。
ぎゅっと瞬きを繰り返す。まるで夢かどうか確かめるみた...
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