第43章

ぱしん――

容赦のない平手が、男の整った頬を強く打った。

稲垣征也は手を上げて頬に触れる。ひりつく痛みがあまりにも鮮明で、その瞬間、新藤鈴奈の胸の内で荒れ狂う怒りを思い知った。

津田真由は慌てて前へ出ると、稲垣征也をかばうようにその前に立った。彼の頬にみるみる赤い跡が浮かぶのを見て、声を荒らげる。

「鈴奈、何するの? いくら何でも叩くなんてひどいじゃない!」

だが稲垣征也は、津田真由を制するように手を上げた。眉を寄せたまま顔を上げると、真っ赤に染まった双眸と正面からぶつかる。

新藤鈴奈は指先をきつく握りしめていた。爪が掌へ深く食い込み、刺すような痛みが、どうにか彼女の理性をつなぎ...

ログインして続きを読む