第61章

稲垣征也は氷のように青い瞳を沈ませ、冷え切った声で言い放った。

「中にいるのは俺の妻だ。お前らに俺を止める資格があるのか」

だが、ボディガードはその問いに答えようともしない。

ただ一歩も退かず、絶対に通さないという態度だけを突きつけてきた。

稲垣征也が今にも荒れそうになった、そのとき。

病室の扉が開き、神園和臣が出てくる。

稲垣征也は怒気を隠さず詰め寄った。

「神園和臣。何様のつもりだ、俺に鈴奈を会わせないなんて。あいつは俺の妻だ!」

神園和臣は視線を逸らさず、整った顔に薄い嘲りを浮かべる。

「せっかく寝ついたばかりだ。起こしてまで会いたいわけ?」

稲垣征也の表情が、わず...

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