第83章

「真由」

淡々とした声が、津田真由の延々と続く言い訳をぶつりと断ち切った。

津田真由の胸がきゅっと締まる。唇をきゅっと結び、探るように言う。

「……どうしたの?」

稲垣征也は片手で眉間を揉み、少しかすれた声で告げた。

「俺は、お前のことは友達だと思ってる。それだけだ。たとえ俺とお前の間に新藤鈴奈がいなかったとしても、俺たちは無理だ」

昔は、どこかで勘違いしていたのかもしれない。だが新藤鈴奈と離婚してから、ようやくいろいろなことが見えてきた。

――手放したくなかった。

どれだけ津田真由に対して何かしらの感情があったとしても、鈴奈と過ごした時間が、まるきり無意味だったはずがない。...

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