第91章

「養えないわけじゃないだろ」

神園和臣が笑って受けた。

「はい。神園社長なら私ひとりどころか、10人養っても余裕です」

ふたりでわいわい言い合って、空気がふわりと甘くなる――その瞬間、スマホの着信音が割り込んだ。

画面に表示された名前は稲垣征也。

神園和臣の目の色が、すっと沈む。

新藤鈴奈も目を開け、ちょうど点いた画面を横目で捉えた。

神園和臣を見上げ、声を落とす。

「日織のことで、私にかけてきたんだと思う」

稲垣征也とは、ここ数日ほとんど連絡を取っていない。

そんな彼が突然電話をしてくるなんて、ろくな用件じゃないに決まっている。

神園和臣は大人の余裕を装い、うなずいた...

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