第94章

新藤鈴奈はプレイエリアで稲垣日織を見つけた。

日織は小さく身を縮めて中にうずくまり、膝を抱えたまま俯いている。そこにいるのに、まるで存在感が薄い。

自分でも理由はよくわからない。先生から「娘さんがこっちへ走っていった」と聞いた瞬間、身体が勝手にここへ向かっていた。

稲垣日織は怒ったり、悲しくなったりすると、決まって隅っこに隠れる。

鈴奈は周囲を見回した。この条件に当てはまる場所なんて、ここくらいしかない。

「日織」

そっと呼ぶと、小さな背中がびくりと震えた。聞こえている。

鈴奈はしゃがみ込む。けれどここは狭すぎて、身体をねじ込むことはできない。仕切り板の向こう側へ声を落とす...

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