第99章

神園和臣は、いつも笑みを湛えているはずの瞳に、かすかな動揺を滲ませた。

口を開いて何か言い訳をしようとする。だが、どこから話せばいいのかさえ分からない。

事実として、彼は新藤鈴奈を騙していた。

私心がなかったのか。

――そんなふうに言うのだって、また嘘になる。

沈黙が落ちる。長い間を置いて、彼の口から絞り出されたのは、たった一言だった。

「……ごめん」

新藤鈴奈の胸に、ひやりと失望が広がる。

せめて、何か説明してくれると思っていた。なのに、軽い謝罪ひとつで、この一か月の想いをまとめて踏みにじられた気がした。

指先が掌に食い込む。震えそうな声を必死で抑えながら、彼女は言う。

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