第一百零四章

瑞樹が病室のドアを押し開ける勢いは、絵里の予想を遥かに上回っていた。

ドアが壁に叩きつけられ、ドンッと鈍い音が響く。

病室の空気が、一瞬にして凍りついた。

藤原司がすっと顔を上げ、落ち着き払った視線をドアに向ける。

ベッドの上で身体を起こしていた紗夜は、現れた人物を見て、わずかに瞳を揺らしただけだった。

瑞樹はドアの前に立ち、肩で息をしながら、紗夜と司を交互に見やる。

「ママ」

その声には、得体の知れない何かが混じっていた。詰問するような響きと、彼自身も気づいていないであろう狼狽が。

紗夜の表情は変わらない。

「瑞樹」平坦な声だった。「ここで何をしているの?」

「僕が来なか...

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