第一百零九章

紗夜はその言葉を聞いても、何の感情も湧いてこなかった。

彼女も後悔はしていた。

ただ、その悔恨の念はあまりにも長く心の奥底に押し殺されてきたせいで、今この言葉を耳にしても、胸に込み上げてくるのは悔しさでも怒りでもない。そこにあるのは、荒涼とした麻痺にも似た感覚だけだった。

彼女の心はとっくに死に絶えていた。

「……あんたみたいな奴、頭良さそうに見えて、中身はガラクタばっかだな」

神風翔真の声に、紗夜は我に返った。

彼は声を低め、指で向かい側を指している。全身が、今にも切れそうな弦のように張り詰めていた。

辰の表情が、一瞬にして冷え切った。

応接室の空気が一秒、固まる。

「双方...

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