第十五章

紗夜は黒沢親子の言葉を待たず、部屋に足を踏み入れると遥を抱き上げ、そのまま黒沢邸を後にした。

 

夜の闇に染まった街並みをタクシーが走り抜けていく。紗夜の肩に寄りかかった遥は、すやすやと深い眠りに落ちていた。その寝息は穏やかで、頬は安心しきったようにほんのりと赤みを帯びている。

 

吉祥寺のマンションに帰り着くと、紗夜はまず遥の顔を優しく拭き、小さなワンピースを着替えさせてから、そっとベッドに寝かせた。

 

ベッドサイドに腰掛け、しばらくその寝顔を見つめる。

 

安堵のため息が漏れる。私には遥がいる。決して、一人ではないのだ。

 


 

月曜日、紗夜は一日中ベビーシッターの斡旋会社を回っ...

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