第三十五章

「用事がないと、会いに来ちゃダメかな?」

 

森梨花は努めて明るい声で問いかけた。

 

藤原司は顔を上げ、こともなげに頷く。

 

「忙しい。用がないなら、帰ってくれ」

 

その言葉に、梨花は一瞬、息を呑んだ。

 

彼のこういう素っ気ない物言いは、長年の付き合いで慣れているつもりだったが、いざ面と向かって言われると、返す言葉が見つからない。

 

一秒の間を置き、どうにか表情を取り繕って、梨花は話題を変えた。

 

「明日、司さんに単独インタビューの予定が入ってるって聞いたわ。一人、同伴者を連れて行けるんですってね」

 

その口調には、何気なさを装いつつも、確かな期待が込められていた。

 

この予定...

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