第四十五章

彼の表情が、微かに変わった。僅かな変化だったけれど、紗夜にはそれが分かった。

 

「ただの小さな傷だ」と彼は何でもないように言おうとする。「大したことじゃな——」

 

「よろしければ、手当させていただけますか」紗夜はすでに救急箱を手に取り、有無を言わせぬ穏やかな口調で言った。「後で化膿したら大変ですから」

 

藤原は少し黙った後、「大丈夫だ、君は仕事に戻ってくれ。自分でやるから」と断った。

 

「薬を塗るだけです。お時間は取らせません」

 

藤原はそれ以上拒むことなく、彼女に背を向け、白いシャツの裾を捲り上げた。

 

それを目にした紗夜は、思わず息を呑んだ。

 

大きな青痣が、肩甲骨の間に広が...

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