第七十一章

「わかってる」と彼は言った。

 

 平坦な口調で、問い詰めるでも、諭すでもなかった。

 

 紗夜は横顔を彼に向けた。

 

 翔真の手はハンドルに置かれ、視線は前方の交差点に向けられている。その表情はどこか吹っ切れたようで、とっくに覚悟を決めていたことを口にするかのように、落ち着いていた。「お前が今回のモナコに出場してくれるだけで、俺たちはもう十分嬉しいんだ。あまりプレッシャーに感じるな。六年前、モナコに出られなかった心残りを晴らす、くらいの気持ちでいればいい」

 

 紗夜は黙って頷いた。

 

 信号が青に変わり、スポーツカーは再び車の流れに合流した。

 


 

 レストランは静かな通りに...

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