第八十八章

 薫はすっと眉を上げ、丁寧な口調で切り出した。

 

「わたくしども、厄介なお客様への対応を専門とする者でして。お待たせいたしました」

 

 声は穏やかで、言葉遣いもそつがない。けれど、目の前の男たちをはっきりと「処理すべき厄介者」に分類しているのがありありと分かった。

 

 紗夜は心の中で思わず苦笑した。

 

 大学時代から、薫はずっとこうだった。毒舌を常に礼儀正しい仮面の下に隠し、その場では決して非の打ち所がない態度を崩さない。だからこそ、相手は何も言い返せなくなるのだ。

 

 男の顔色が一層険しくなる。

 

 その時、集団の外側にいた一人が動いた。ダークスーツを着こなし、明らかに雰囲気の違...

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