第九十六章

紗夜は六年前、チームを辞めた時のことを思い出していた。ネット上には、非難の声が溢れかえっていた。

ドーピング疑惑で調査されたのだとか、整形失敗で顔を出せなくなったのだとか。様々な憶測がスクリーンショットでまとめられ、つけられた見出しはどれもこれもショッキングなものばかりだった。

当時、彼女はアカウントを削除し、何の声明も出さなかった。

後になって、沈黙は肯定を意味すると言われたが、それでも彼女は口を開かなかった。

あの数々の投稿を、彼女は今でも覚えている。

翔真からの誘いを頭の中で反芻し、紗夜は少し考えてから言った。「ええ、行くわ。でも、しばらく『暁影』の正体は明かすつもりはないの。...

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