第九十八章

「クラスの子がね、暁影はすごいんだって言ってたの」遥は紗夜の袖を掴み、視線を少し下に落とした。「サイン入りの写真、ランドセルの中に入れておきたいな……もし、あったら」

そう言ってから、彼女は紗夜をちらりと見上げた。その眼差しには期待が宿っている。

遥を見つめる紗夜の心の中が、ふわりと動いたような気がした。

「翔真おじさんのところになら、あるかもしれないわね」紗夜はわざと何気ない口調で言った。「でも、ママも探してみるわ」

途端に遥の目がぱあっと輝き、素直に頷いた。「うん! ママ、探してきて! 私、手を洗ってくる!」

言い終わるやいなや、くるりと背を向けて走り去ってしまった。

紗夜はそ...

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