第107章 しつこい奴

食事が終わるその瞬間まで、ケビンは結局、自分の気持ちを言葉にできなかった。

渡辺美咲は腕時計を一瞥し、礼儀正しく告げる。

「ケビン、ごちそうさま。もうお腹いっぱい。病院に用事があるから、先に失礼するね」

ケビンの手が空中で止まった。箸には肉が一切れ挟まれたまま、彼女の皿へ置くことすらできない。

「美咲……」

「招待してくれてありがとう」

渡辺美咲は立ち上がり、自分のバッグを手に取る。アリスへ目を向けて、やわらかく言った。

「アリス、またね」

そうして踵を返し、店を出た。

背中に刺さる視線は、角を曲がるまで離れなかった。レストランの扉を出る際、ケビンのボディーガードが低い声で...

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