第111章 君を守るのは当然のことだよ

渡辺美咲が踵を返して立ち去ろうとした、その背中にケビンの声が追いすがった。

「美咲。あの日の電話……番号、教えてくれないか」

美咲は足を止め、少し考えてから番号を口にした。ケビンは視線を落としてメモを取り、顔を上げた時には、もう彼女の姿は遠い。

背筋の伸びた後ろ姿を見送りながら、ケビンの目がわずかに沈む。

――あの電話は、ただ美咲を脅すだけのものじゃない。

昼過ぎ。田中康介の病室に、招かれざる客が現れた。

渡辺莉々だ。どこから嗅ぎつけたのか、息を切らして病室の前まで押しかけてきたらしい。

ヘルパーの女性が必死に止めるのも構わず、莉々は腹を押さえたまま喚き散らす。

「田中康介!...

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