第118章 傷口が裂ける

同じ建物の別の病室では、田中康介の様子が少し違っていた。

  電話を切ったあと、テーブルの上のコップに手を伸ばし、水をひと口飲もうとする。右手がガラスの側面をつかんだ、その瞬間――指先が勝手にびくりと痙攣した。

  手から滑り落ちたコップが「パシャン」と床に叩きつけられ、破片が散った。

  田中康介は、かすかに震える自分の右手を見つめる。指をいったん丸め、伸ばし、また丸める。

  震えは止まらない。

  奥歯を噛みしめ、右手をシーツに押しつけた。体重をかけて、無理やり固定する。

  しばらくして、ようやく痙攣がゆっくり引いていった。

  深く息を吸い、もう一度スマホを取る。渡辺...

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