第124章 彼は行くつもりだ

「私たち、ただの友だちだよ」

「ただの友だち?」

女医が眉をつり上げる。口元の笑みは、どこか含みがあった。

「あなたは友だちだと思ってるかもしれないけど、向こうは違うでしょ。あの人、あなたを見る目……あれは清いとは言えないわね」

そう言われて、渡辺美咲は思わず額に手を当てた。

「私があなたに嘘つく必要、ある?」

その一言に、女医は素直に頷く。

たしかに渡辺美咲が彼女を騙す理由など、どこにもない。まったく、ない。

「……まあ、そうね」

渡辺美咲は、これでようやく好奇心が引っ込んだと思った。だが女医は間髪入れず、次の矢を放ってくる。

「じゃあさ。田中康介って人は?」

その名...

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