第126章 彼を守る

ケビンの動きを見切った渡辺美咲は、もう横でなだめている場合じゃないと判断し、躊躇なく前へ出て、片手でケビンを引きはがした。

力は決して強くない。けれど彼女が「戦場」に足を踏み入れた瞬間、二人の男は反射的に手を引いた。だからこそ、殴り合いはそこで止まった。

だがケビンが何か言うより早く、渡辺美咲は両腕を広げ、田中康介の前に立ちはだかった。

「……やめて」

小さく首を振る。瞳には、懇願が滲んでいた。

こんな場面で、彼女が自分ではなく田中康介を庇うなんて――ケビンは想像すらしていなかった。

胸の奥が、針で刺されたみたいに痛む。

「美咲、俺は……」

違う、と言いたかった。だが、さっき...

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