第128章 くまのぬいぐるみ

ケビンの問いかけは唐突だったが、アリスは真剣に考えた末、きちんと答えを返した。

「私、美咲おばさんが好き。美咲おばさんに、私のママになってほしい」

実の両親を亡くしてから、ケビンとセレナの気遣いを除けば、アリスはもう「親の愛情」というものを味わっていない。

だからこそ、彼女は望んでいた。ちゃんとした家庭を――たとえ見た目だけでも。

それに、アリスは心の底から渡辺美咲のことが好きだった。

子どもは幼い。けれど幼いからこそ、人の善意と悪意を驚くほどはっきり嗅ぎ分ける。

アリスには分かっていた。渡辺美咲から滲み出る母性と、痛ましさを堪えるような優しさが。

一緒に食事をしたのは数えるほ...

ログインして続きを読む