第138章 私たちがあなた学校に送る

今日の渡辺美咲は、彼の反応をじっと見ていた。けれど田中健人がしたのは、ぎゅっと自分の服の裾を握りしめることだけ。瞳にも表情にも、抑えきれない喜びがにじんでいるのに――それ以上、大きくはしゃいだりはしない。

田中健人という子の中に、美咲は「抑える」という文字を見た。

分かれば分かるほど、胸が痛む。

こんな小さな子が、何を我慢する必要があるのだろう。嬉しいなら嬉しい、嫌なら嫌。それでいいはずなのに。

信じられないという顔から、ぱっと驚きの笑顔に変わったあとでさえ、健人はちゃんと自分を収めていた。飛び跳ねたり、声を上げたりしない。

ただ歩くときだけ、ほんの少しだけ足取りが弾んでしまう。そ...

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