第141章 離婚したくない

「その言葉、君だけじゃなくて俺にも刺さる。だって俺たち、そもそも親として落第だろ。そんな俺たちが、子どもにだけ『ちゃんとしろ』なんて言えるわけない」

 渡辺美咲は黙り込んだ。しばらく呆けたようにしてから、ふっと顔を上げる。

「……じゃあ、こうしよう。家に帰ったら、健人とちゃんと話す。いつまでもこのままじゃ、どうにもならないし」

「分かった」

 田中康介は小さくうなずいた。

 その瞬間になって、渡辺美咲はようやく気づく。自分の手が、ずっと田中康介の手の中にあったことに。

 胸がひゅっと縮み、慌てて手を引き抜いた。

「どうした?」

 田中康介は知らないふりをして首をかしげる。

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