第142章 写真を洗い直す

田中康介のその目と真正面からぶつかった瞬間、渡辺美咲の胸が、ひゅっと震えた。

けれど次の瞬間には視線を外し、淡々と言う。

「今日、病院に出勤初日なの」

「じゃあ送る」

美咲が言い終えるより早く、康介が迷いなく返した。

「時間、余裕あるの?」

今朝、家を出る前に「大事な会議がある」と言っていたはずだ。聞き間違いでなければ。

田中康介は腕時計に目を落とし、頭の中で段取りを組み直す。

「……ぎりぎり、間に合う」

そう言われれば、渡辺美咲もこれ以上は断れなかった。

病院の前に着くと、美咲はさっとドアを開けて降りた。

「じゃあね」の一言すらない。

その背中を見送る田中康介の瞳は...

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