第149章 調査

それはバッグだった。

田中康介の記憶が確かなら、そのバッグは、以前渡辺莉々がしつこくねだって買わせたものだ。

こういう類いには興味がない。だが、あの色だけは妙に目立っていたから、さすがの田中康介も覚えている。

別のものなら、見分けがつかなかったかもしれない。

けれど、これは違う。間違いなく渡辺莉々のだ。

今日、渡辺美咲を尾行していたのが渡辺莉々だと考えた瞬間、田中康介の背筋に冷たいものが走った。

――何をするつもりだ。

田中康介と渡辺美咲が戻ってしばらくして、病室の外に控えていたボディーガードたちも、渡辺莉々が逃げたことに気づいた。すぐに田中康介へ報告が入る。

ただ、すでに遠...

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