第150章 もう一度彼にチャンスを与える

「……あの」

田中康介は車を路肩に寄せて停めると、渡辺美咲のどこか言いよどむ様子を見つめ、目に小さな好奇心を浮かべた。

「どうした、美咲?」

緊張した面持ちで、彼女を上から下まで確かめる。

「どこか具合でも悪いのか?」

その落ち着かない態度を見ていると、美咲の胸につかえていた言葉に、ようやく出口ができた気がした。

「……もし、あなたが嫌じゃないなら。もう一回だけ、チャンスをあげる」

勇気を振り絞って、ようやく本音を口にする。

離婚を強く言い出したのは自分だ。いまさら「機会をあげる」なんて、結局は自分の中の壁を越えることでもあった。

康介は、その言葉を聞いた瞬間、完全に固まっ...

ログインして続きを読む