第166章 なんて大きな蚊だ

田中康介は着信画面を見つめ、コールが三度鳴るのを待ってから、ようやく受話器を取った。

「……まだ何か?」

『田中社長、防犯カメラまで確認する必要、ありますか?』

上野結花の声から、さっきまでの作り笑いがすっと消える。

『あのシャンパンは……たまたま、ちょっと問題があっただけかもしれません』

「酒そのものに問題があると言うなら、なおさらはっきりさせるべきだろ」

田中康介の声は冷え切っていた。

「シャンパンタワーが一度だけで済む保証はない。次は? その次は? 警察に届けたほうがいい」

『ダメ!』

上野結花が反射的に叫び、すぐに自分の言葉がまずかったと気づいたのか、慌てて声の温度...

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