第19章 ママのところへ行け!

翌朝。朝日が大きな窓から差し込み、部屋の床を淡く照らしていた。

渡辺美咲は早くに目を覚ました。音を立てないようにベッドを抜け出し、身支度を整え、着替えを済ませる。そのまま病院へ向かうつもりだった。

もう、田中家には一秒だっていたくない。

この場所に、家と呼べる温もりはとっくに残っていなかった。あるのは、積み重なった屈辱と傷ばかり。

渡辺美咲が別荘の玄関まで来たところで、ふと足を止めた。

門の前に、見知らぬ男が立っていたからだ。

男は気取らない私服姿で、柔らかな雰囲気をまとっている。その手には、3歳か4歳ほどの小さな女の子の手が握られていた。

女の子はふたつのお団子頭。丸い頬に、...

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