第32章 あなたもそう思いませんか?

田中健人が使用人に抱き上げられて二階へ運ばれると、泣き声は次第に小さくなっていった。

田中康介はソファに腰を下ろしたまま、顔色を沈ませている。

リビングはがらんとして、残っているのは彼ひとりだけ。

目を閉じると、脳裏にあの動画が何度も再生された。

『ママなんていらない。莉々おばさんがママがいい』

四歳の口からこぼれたその一言が、棘みたいに心臓へ刺さり、抜けない。

――四歳だぞ。

どうして、あんなことが言える。

渡辺美咲の立場で考えれば、傷つかないはずがない。心をずたずたにされたに違いない。

康介はこめかみを押さえる。傷がじくじく疼き、頭までぼんやり重い。

二階へ行って健人...

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