第33章 キッチン爆破

渡辺莉々は目の奥に滲んだ失望をそっと押し込み、涙を拭ってから、にこりと頷いた。

「あなたが無事なら、それでいいの」

 二人がそうして言葉を交わしていると、使用人がキッチンから出てきて、遠慮がちに尋ねた。

「若様、ご夕食は何になさいますか。今からご用意いたします」

 田中康介は少し考え、いくつか料理名を挙げる。

「酢豚に野菜炒め、それと味噌汁で」

 それを聞いた使用人の顔に、かすかな困惑が浮かんだ。

「若様……その、酢豚と味噌汁は、奥様がいちばんお得意だったお料理でして。私も何度も教わったのですが、どうしてもあの味にはならないんです。少し、別のものになさいますか」

 言い終えた...

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