第98章 ケビン?

渡辺美咲がまだぼんやりしていると、看護師の急かすような声が飛んできた。

「渡辺先生、もう上がられました? まだなら、すぐ来てください」

その一言で、渡辺美咲の頭は瞬時に仕事へ切り替わる。白衣を羽織り、足早に向かった。

「どうしたの?」

渡辺美咲の姿を見た途端、看護師は救いの綱でも掴んだみたいに息を吐く。

担架に横たわる人影を指し、露骨に困り切った顔で言った。

「渡辺先生、ほかの先生方はもう上がっていて……今夜の当直医も救急科に呼ばれて戻れません。いま診療科に医師がいないんです。救急科からこの方を回されてきたんですけど、傷の処置ができる人がいなくて……」

そこまで言って、看護師は...

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