第11章

「八千万」

その数字が落ちた瞬間、オークション会場全体の呼吸が何かに押さえつけられたように止まった。

九条蓮は最前列のその背中を睨みつけ、顔色を急激に沈ませた。

彼は源枢を知っている。財界で源枢を知らない者などいない。だが、知っていることと実際に接点があることは別問題だ。源氏ホールディングスはこの三年間で規模を二倍に拡大し、傘下の金融、不動産、医療が隙のない網の目を形成している。

そしてその網を束ねる頂点の男は、これまでこの種の場には一切姿を見せず、取材も受けず、公の場で口を開くことすら稀だった。今夜彼がここに座っているだけでも十分に人目を引くというのに、彼が口を開いたのは、よりによ...

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