第13章

楠木瑾也は軽く会釈した。

「お品物は確かにお渡ししました。それでは、これで」

「待ってください」

詩織は呼び止め、手の中のベルベットの箱を少し強く握りしめた。

カードの文面に視線を落とし、再び顔を上げる。

「源さんに伝えていただけますか。後日、改めて直接お礼に伺いますと」

楠木は表情を変えずに頷いた。

「承知いたしました。必ずお伝えします」

カードに記された短い一文を見つめる。

喉の奥に何かがつかえたような感覚があった。

なぜ、このネックレスが自分に関わりがあると源枢は知っていたのか。

莫大な額で競り落とし、彼女に贈り、紙切れ一枚を残して去る。

真意が読めない。

一...

ログインして続きを読む