第15章
暗闇の中、スマートフォンの画面が文字を浮かび上がらせている。
『見たい?』
詩織はその一文を、おそらく五秒ほどじっと見つめていた。
最初の反応は、弁解だった。一行打ち込んでは消し、再び入力しては、文面が硬すぎると感じてまた消す。
『あれは誤送信で、本当は聞きたかったのは……』
そこまで打って手が止まる。言い訳を重ねるほど、かえって何かを隠しているように思えてきた。
結局、入力した文字をすべてクリアした。
窓の外から吹き込む夜風が、薄いカーテンを揺らしている。
少し考えて、再び短い文を打ち込んだ。
『夜分に失礼しました。おやすみなさい』
送信。既読。
返信はない。
詩織...
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