第17章

詩織は通話終了の画面を数秒間見つめた。

すぐにはエンジンをかけず、スマートフォンを助手席に放り出し、ステアリングを指先で二度叩く。

九条蓮のあの口調には、嫌というほど馴染みがあった。

支配欲と怒りが入り混じった、命令にも等しい圧迫感。

まるで妻ではなく、制御不能に陥った部下を扱うかのような態度だ。

少しの沈黙のち、エンジンをかけた。

彼の命令に従ったわけではない。この日が来ることを、とうに予期していたからだ。

源氏ホールディングスのコンペで、九条グループを贔屓することなく、MUを推した。

その事実が彼の耳に入るのも時間の問題だった。衝突は避けられない。

逃げるつもりはなかっ...

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