第18章

車内でスマートフォンが二度震えた。

画面に目を落とす。須藤礼からの着信だった。

通話ボタンをタップする。

こちらが口を開くより早く、スピーカー越しに声が飛び込んできた。

「詩織!」

次の瞬間、もう一つの回線が割り込んでくる。結城玲子の声が重なり——二人が同時に、同じ言葉を叫んだ。

「九条に殴られたの!?」

詩織は一瞬虚を突かれ、先ほど送信したメッセージを思い出した。

「違う」と、彼女は返す。「殴られてはいない」

「じゃあ、何をされたの?」

洗面所の明かりを消し、寝室へ向かう。ベッドの端に腰を下ろし、先ほどの出来事を一から説明した。第三者の出来事を語るような、ひどく淡々とした...

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