第19章

詩織はそう言い残し、目を伏せて荷造りを再開した。

蓮は一瞬、言葉を失った。

ナイトテーブルの傍らに立ち、手に粥の紙袋を提げたまま、彼女のつむじに視線を落とす。

その口調はひどく平坦だった。当てつけがましい響きも、余分な感情の揺れもない。ただ、一つの事実を述べているだけだ。

ふと、以前とは何かが違うことに気づく。

少し前までなら、彼が何を言っても彼女は必ず何かしらの反応を示した。視線を向ける、頷く、あるいは諦めたようにため息をつく。声を荒げて怒るような女ではないが、それでも確かな応答があった。

だが今は、ただ黙々と荷物を詰めているだけだ。

『私、あなたと一緒に行くなんて言ってない...

ログインして続きを読む