第25章

終業のチャイムの余韻がまだ空気に溶け残る中、九条蓮はすでにマーケティング部の入り口に立っていた。

廊下のダウンライトが、彼の隙のないスーツ姿を照らし出す。その手には、カルティエの薄緑色のギフトボックスが握られていた。

部署内は静まり返っている。

照明は落ちていた。

半開きのドアを押し開け、室内を見渡す。誰もいない。デスクの上は整然と片付き、パソコンのモニターはすべて真っ暗だ。詩織が使っていた一般席のデスクにも、きちんと揃えられたペン立てが残されているだけだった。

九条蓮はその場に立ち尽くし、徐々に表情を険しくさせていく。

振り返り、廊下の端に立つ江藤亘に視線を向けた。

江藤は微...

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