第35章

源枢の視線が、テーブルの上の孤本に落ちた。

 

ページは七、八片に引き裂かれ、和紙テープで辛うじて繋ぎ合わされている。角の折れ目も痛々しい。彼が手を伸ばしてページをめくると、表紙こそ破れているものの、背表紙の構造は保たれ、一枚一枚が寸分の狂いもなく揃えられていた。

 

詩織は息を詰めた。

叱責される覚悟はできている。冷ややかな指摘であれ、押し殺した失望であれ、すべて想定の範囲内だ。

 

「丁寧に修復されている」

 

源枢は古書を置いた。ただのありふれた品を評価するような、淡々とした口調。そのまま箸を取り、何事もなかったかのように食事を再開する。

 

詩織は虚を突かれた。

顔を上げ、彼の静かな横...

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