第37章

西園寺瑠璃はスマートフォンをバッグに押し込み、顔を上げて九条蓮に微笑んだ。

 

「怒った?」少し背伸びをして彼の肩に顎を乗せる。その声は綿のように柔らかかった。「早く蓮お兄ちゃんに会いたかっただけ」

 

蓮は彼女を見下ろした。

 

郊外の朝の空気はまだ冷たい。約束の待ち合わせ場所で、景深お兄ちゃんが八時に着くという瑠璃の言葉に従い、彼は共に待っていた。

 

手を伸ばし、彼女の額を軽く撫でる。「分かった」

 

「一時間だけ、一緒にいて」

 

「ああ」

 

瑠璃は目を細め、彼の肩に顔を埋める。その奥に隠された笑みを、彼に見せることはなかった。

 

スマートフォンはすでにマナーモードになっている。九...

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