第42章

病室の光は、夕暮れ時を迎えて曖昧な色合いを帯びていた。

 

半分閉ざされたカーテンの隙間からオレンジ色の光が漏れ、白いシーツの上に細長い暖色の帯を切り出している。詩織はその光の筋を見つめながら、電話の向こうからの応答を待っていた。

 

「十日だ」

源枢はその言葉を繰り返し、声に抑揚はなかった。

 

詩織は心臓が小さく跳ねるのを感じたが、声は出さなかった。

 

「ポストは保留しておく」

彼女は小さく息を吐き出した。

「ありがとうございます――」

 

「プライベートの番号だ」

彼が言葉を遮る。

「手元に紙とペンはあるか」

 

詩織はわずかに虚を突かれたが、すぐに視線を巡らせ、ナイトテーブルの引き出...

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